【初心者向け】画像処理・FAにおける産業用レンズ3種類の違いと正しい選定基準

💡 【動画の解説シーン】光学選定の基礎(01:50 〜 05:43)

ファクトリーオートメーション(FA)の現場や画像処理システムにおいて、光学選定(レンズと照明の組み合わせ)は非常に重要な役割を持ちます。人間の体に例えると、照明は「太陽や室内光」、レンズは「目の水晶体」、カメラは「目の網膜」にあたり、画像処理やAIはそれらの情報を判断する「脳」に該当します。

いくら高性能なカメラや画像処理AIを導入しても、レンズ選定を間違えると、良品を不良品と判定したり、逆に不良品を見逃したりする原因になります。カメラ、レンズ、照明をトータルシステムとして捉え、良い絵(画像)を得ることが検査の品質向上への近道です。

固定焦点レンズ(CCTVレンズ)の特徴とメリット・デメリット

💡 【動画の解説シーン】固定焦点レンズの特徴(08:21 〜 12:02)

固定焦点レンズは、別名CCTVレンズとも呼ばれ、もともとは監視カメラ用の技術から発展したレンズです。その最大の特徴は、無限遠から近距離まで非常に幅広い範囲(WD:ワーキングディスタンス)に対応できる点にあります。

  • メリット: 低コストであること、コンパクトであること、そして視野やWDを自由に変えられる柔軟性(自由度)が高い点です。
  • デメリット: 近接域(カメラと対象物が近い距離)で使用する場合に、ディストーション(歪み)が大きくなりやすいというトレードオフがあります。

また、用途に応じた専用設計のラインナップも存在します。ボトルの内側面を検査するための内面検査専用レンズ(VS-WAシリーズ)や、高速ラインで流れる製品をブレずに撮影するための明るい設計(VS-085シリーズ)、さらにビス(突起物)の脱落による異物混入を防ぎたい食品業界向けのビスなし設計(VS-MCH1)などが挙げられます。

近接撮影用「マクロレンズ」の特徴と耐震ロボットビジョンへの応用

💡 【動画の解説シーン】近接撮影用マクロレンズの特徴(12:02 〜 15:38)

マクロレンズは、外見こそ固定焦点レンズと似ていますが、設計思想が根本から異なります。固定焦点が無限遠に対応するのに対し、マクロレンズは有限遠(FA現場の限られたWD、主におおよそ100mm〜300mm前後)の範囲内で最大のパフォーマンスを発揮するように設計された近接撮影用の精密レンズです。

  • メリット: 条件的には不利とされる広角の短い焦点距離であっても、歪み(ディストーション)を高度に補正・抑制する設計が施されています。
  • デメリット: 一定のWDでしかピントが合わず、倍率も限定されるという制約があります。精度を追求するか、自由度を優先するかの選択となります。

マクロレンズには、フォーカスリングで倍率を変えられる「可変倍率」と、一倍などの高倍率で固定されている「固定倍率」の2種類(VS-LDA、VS-LDV、VS-LLDシリーズなど)があります。

さらに、近年需要が増えているロボットビジョン(ロボットアームの先端にカメラとレンズを取り付ける用途)に最適な「耐震型マクロレンズ(VS-MCAシリーズ)」があります。このレンズは、振動による緩みを防ぐために調整用のビスを排除し、固定リングによって面全体を強固に固定する特殊構造を採用しています。一般的な固定焦点レンズが160時間ほどで破壊される過酷な耐震試験において、240時間以上変化がないという圧倒的な頑丈さを誇ります。光学性能も高く、広角でも歪みません。さらに、専用の軽量薄型リング照明(偏光仕様あり)を、工具やブラケットなしでフィルターネジに直接手で取り付けられる設計になっており、レンズと照明をセットでシステム提案できる強みがあります。

寸法計測のミスを防ぐ「テレセントリックレンズ」の仕組み

💡 【動画の解説シーン】テレセントリックレンズの仕組み(20:43 〜 28:25)

テレセントリックレンズは、精密な外観検査、アライメント(位置合わせ)、寸法計測において必須とされる非常に特殊なレンズです。その定義は「主光線がレンズ光軸に対して平行であること」です。通常のレンズは光が斜めに入射しますが、テレセントリックレンズは真正面からの平行な光しか取り込みません。

  • メリット: 画角(遠近感)の影響を受けないため、被写体との距離(WD)が多少上下にブレたり変わったりしても、画面に映る「対象物の大きさ(倍率)」が変わりません。これは寸法計測における致命的な誤差を防ぐために不可欠な特性です。さらにディストーション(歪み)が極めて小さく、物体の正確なエッジを捉えることができます。
  • デメリット: 平行光を取り込む構造上、レンズの径が大きくなりやすく、全体的に大型化・重量化し、コストも高くなります。またWDや倍率が固定される制約もあります。

スペースが限られる現場向けには、対応センサーサイズを絞ることでコンパクト化したシリーズ(TCHやVS-TCシリーズ)が有効です。また、最近のトレンドとして、ピクセルサイズが2.5ミクロンや2.7ミクロンといった微細な最新高解像度センサー(IMX925/935、GMAX0505など)の周辺まで安定して解像できる「VS-TCTVシリーズ」や、人間の目に見えない短波長赤外線を使用する「Swir対応・顕微鏡レベルの高倍率撮像(VS-TMシリーズ)」など、ウエハ内部検査をはじめとする最先端の検査需要にも対応しています。なお、型式の末尾に「Co」が付くモデルは同軸照明の差込口が備わっています。

通常レンズとテレセントリックレンズの撮像画像比較(選定基準)

💡 【動画の解説シーン】通常レンズとテレセントリックの撮像画像比較(28:25 〜 31:00)

実際の検査現場において、通常レンズとテレセントリックレンズでは得られる画像に以下のような決定的な差が出ます。

  • 【ワーク1:穴の位置測定】 通常のレンズでは、中心から離れて周辺にいくほどレンズの歪み(画角)の影響を受け、穴の位置が斜めにずれて映ってしまいます。一方、テレセントリックレンズは均等かつ正確な位置を真上から捉えるため、正確な測定が可能です。
  • 【ワーク2:ピンの倒れ検査】 通常レンズは斜めに光が入る(画角がある)ため、ピンの側面まで余計に映り込んでしまい、画像全体をごちゃごちゃさせます。そのためピンが1本倒れていても見落とすリスクがあります。しかしテレセントリックレンズは正面の情報しか捉えないため、画像がすっきりし、正常なら真上から見た綺麗なエッジ、倒れていればその変化をひと目でクリアに判別できます。

このように、万能なレンズは存在しないため、「何を見たいか」「どの程度の測定精度が必要か」を最初に定義し、そこから逆算して固定焦点・マクロ・テレセントリックの3種類から最適なレンズを選定することが、画像処理システムを成功させる基本鉄則です。

CONTACT 各種お問い合わせ・資料請求はこちらから

資料請求・お問い合わせは、
以下メールフォームからお問い合わせください。

カタログ・資料ダウンロードは
こちら